日本でも大注目だったダニール・トリフォノフ、2024年ツアー。
日本公演日程の少し前に行われた台北公演を聴いて参りましたのでレポートいたします!
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ロシア出身のピアニスト、ダニール・トリフォノフ。
2010年ごろから数多くの国際コンクールにて入賞・優勝を重ね、2013年からはドイツ・グラモフォンと専属契約を結び、数々のCDをリリースしています。
国際的に演奏活動する超一流ピアニストであり作曲・編曲までこなされます!
今年リリースのアルバム『Rachmaninoff For Two』では、自身が2台ピアノのために編曲したラフマニノフ『交響曲第2番Adagio』から始まります。
コンサートレポート
日時:2024年4月9日(火)19:30より
会場:國家音樂廳
本日の演目
2 モーツァルト:ピアノ・ソナタ第12番 へ長調 K.332
—途中休憩20分—
4 ベートーヴェン:ピアノソナタ第29番 変ロ長調 op.106「ハンマークラヴィーア」
トリフォノフはこのツアーのために、19世紀と20世紀、2つの時代それぞれに焦点を当てた2種類のプログラムを準備。
日本では二日間の東京公演でどちらも披露されました。
この日、台湾の公演では前者の19世紀の作品プログラムが演奏されました。
このプログラムは、ピアノ誕生前のチェンバロ時代の作曲家ラモー(1729~1730年ごろの作品)から始まり、モーツァルトのソナタ(1783年の作品)、メンデルスゾーン(1841年の作品)と時代を順に追って進んでいきます。
前半最後のメンデルスゾーン『厳格なる変奏曲』は、ベートヴェン記念事業のために出版された楽譜集に収められ、その売り上げは、ベートーヴェンの記念碑創設事業に充てられたそうです。
この事業には、メンデルスゾーン以外に、ショパン、リストなど当時を代表する人気作曲家が参画し、ベートーヴェンの功績を讃えました。
そんなメンデルスゾーン作品から、後半のベートーヴェンのピアノソナタ『ハンマークラヴィーア』(1817~1818年ごろの作品)につがなりクライマックスを迎えるという興味深いプログラム構成でした!
異なる時代・個性の曲目で構成された内容でのリサイタルでしたが、それぞれの作曲家と作品スピリットがピアニスト・トリフォノフに憑依したかような演奏でした。
演奏ごとに別世界を見せられ、圧倒的で鳥肌ものでした!
休憩後、後半が始まり舞台に登場したトリフォノフ、彼を歓迎する会場の拍手と熱狂が未だ収まらぬうちに、ジャジャーン ジャジャジャン!『ハンマークラヴィーア』の演奏が始まり、この瞬間トリフォノフのカリスマが大爆発!
聴衆はそのまま傑作ピアノ・ソナタに引き込まれたのでした。
後半、約40分の長大なソナタの演奏を終え、客席からの歓声に応えるトリフォノフ。
本日のアンコール
1 ビル・エヴァンスver. :When I fall in love
2 チャイコフスキー:「子供のアルバム」op.39から 甘い夢
3 ショパン: 24の前奏曲 op.28から 第10番 嬰ハ短調
めくるめくトリフォノフワールドはまだ終わらず、アンコール1曲目でまた驚かされました。
レパートリーの豊富さ(なんでも弾ける)を最後まで見せつけられたコンサートでした。
終演後、記念撮影をする人々。
この日ついに私も、台湾の聴衆と共にトリフォノフ伝説の目撃者となったのでした。
本日の中国語キーワード
丹尼爾・特里福諾夫 dān ní ěr tè lǐ fú nuò fū:ダニール・トリフォノフ
鋼琴獨奏會 gāngqín dúzòuhuì:ピアノリサイタル
拉莫 lāmò:ラモー
莫札特 mò zhá tè:モーツァルト
孟德爾頌 mèng dé ěr sòng:メンデルスゾーン
貝多芬 bèi duō fēn:ベートーヴェン
漢馬克拉維 hàn mǎ kè lā wéi:ハンマークラヴィーア
一緒に観にいった人(台湾人)はトリフォノフ登場の瞬間、
「スーツ超かっこいい。足長〜い。ジョン・ウィックみたい!」とコメント。
そのあと会場でたまたま会った知り合い(台湾人)にも感想を聞いたら、
「想像してたより髪長かったね〜。ジョン・ウィックみたい!」と同様のコメント。
(注:2023年公開の映画『ジョン・ウィック4』は台湾でも大ヒット)
音楽性以外でも台湾の人々を惹きつけたトリフォノフ、とにかくすごすぎました。
次回の台北コンサートレポートもお楽しみに。