とまどいたいぺい

知られざる!? 台湾クラシック音楽文化の世界

【ピョートル・アンデルシェフスキ】ピアノ✖️台北市立交響楽団✖︎インバル指揮!バルトークピアノ協奏曲第3番&ブルックナー『ロマンティック』

2024年は後期ロマン派の巨匠ブルックナーの生誕200周年!

台北市交響楽団はこれを記念し「布魯克納200」(ブルックナー200)と銘打った音楽会シリーズや、講演会などのイベントを企画しています。

ちなみに今年同じく節目である55周年を迎えた台北市交響楽団は、ブルックナー交響曲レパートリーを得意とする大指揮者エリアフ・インバルを、2019年から主席指揮者に迎えています。ブルックナー鑑賞について語るインバルさんの様子は下記からどうぞ。

動画タイトル:「ブルックナーの音楽 静かな心を持つことが必要」

www.youtube.com

先日コンサートリポートを書いた、かてぃんこと角野隼斗さんとの公演も「布魯克納200」(ブルックナー200)企画のうちの一つでした。

今回は、角野さんとインバル率いるTSO共演に先駆け、第一弾として4月に公演が行われた、ピョートル・アンデルシェフスキをソリストに迎えたコンサートについてレポートします。

コンサートレポート

日時:2024年4月28日(日)19:30より

会場:國家音樂廳

本日のソリスト🎹ピョートル・アンデルシェフスキ

Photo Credit (C) Simon Fowler

現代における最も傑出したピアニストの一人、ピョートル・アンデルシェフスキは、ポーランド人とハンガリー人の両親の元に、1969年ワルシャワで生まれました。父親の仕事の関係でフランスに暮らしたこともあり、多元的な文化の影響を受けて育ちました。1990年に開催されたリーズ国際ピアノコンクールで、演奏に満足できず棄権したという逸話が有名です。このことは、彼の音楽に対する真摯な精神性やこだわりを象徴するエピソードとしても、今日に至るまで語り継がれてきました。その後、ピョートル・アンデルシェフスキは世界中から注目される存在となり、ギルモア・アーティスト賞を始めとする数々の名誉ある賞を受賞しています。2000年からワーナークラシックス/エラートと専属契約を結んでいますが、同レーベルからのベートーヴェン『ディアベリの主題による33の変奏曲』は必聴です。

www.youtube.com

 

geo.music.apple.com

 

本日のプログラム

1 バルトーク :ピアノ協奏曲第3番 ホ長調 Sz.119

                  ♪ 途中休憩15分 ♪

2 ブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」(1878/80年版)

 

本日のソリストアンコール

1 バルトーク:3つのチーク県の民謡 Sz.35a

2 ベートーヴェン:6つのバガテル Op.126 より第1曲

 

ピアノ協奏曲第3番は、バルトークが深刻な健康不安を抱えていた最晩年の作品です。アメリカ移住後は経済的にも厳しかったバルトークですが、そんな悲壮感を感じさせない朝のような清々しさを感じる曲調が特徴です。アンデルシェフスキさんは、曲想の変化に合わせてエネルギーを爆発させるように演奏したり、反対にピアノに語りかけるように、または独白しているかのように思慮深く演奏したりと、ピアノを奏でるその姿に釘付けになってしまい、演奏時間約25分は本当にあっという間に過ぎてしまいました。アンコールではピアニストお気に入りのバルトークの作品が披露され、台湾のファンも喜んでいました。

指揮者インバルと手を取り合うアンデルシェフスキ↑

 

後半は、いよいよブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」の演奏です。「ロマンティック」という副題も手伝ってか、ブルックナー交響曲の中でもとりわけ親しまれている作品と言われます。俗に言われる「ブルックナーリズム」がたくさん登場する本作品も、ブルックナーらしい規模の大きな交響曲で演奏時間は80分ほどです。90歳近い指揮者インバルさんの放つエネルギーに引き込まれ、ブルックナーの世界に没入感すら感じながら曲の流れに身を任せていると、こちらもまた演奏時間が驚くほど早く過ぎ去りました。大曲の演奏が終わり、観客の拍手の渦の中、指揮者と楽団員がお互いを称え合っている様子に、毎度毎度感動させられます。

geo.music.apple.com

本日の中国語キーワード

ピョートル・アンデルシェフスキ:皮奧特・安德佐夫斯基 Pí ào tè Ān dé zǔo fū sī jī

ポーランド波蘭 bō lán

ワルシャワ華沙 huá shā

バルトーク巴爾托克 bā ěr tūo kè

ギルモア・アーティスト賞:吉莫爾藝術家獎 jí mò ěr yìshùjiā jiǎng

 

次回の台北コンサートレポートもお楽しみに!