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知られざる!? 台湾クラシック音楽文化の世界

【クラシック考察@台北】台湾流コンサートの楽しみ方🎵「演前導聆」とは?

大家好!こんにちは!

ブログをご覧いただき、本当にありがとうございます。

このブログでは「台湾のクラシック音楽文化」というニッチな視点から記事を書いておりますが、本日のテーマは台湾流クラシックコンサートの楽しみ方についてです。

クラシックに限らずコンサートや観劇に行く日は、カフェに立ち寄ってから会場に入り、開演30分前に席につく…などなど、きっとオリジナルのルーティーンや楽しみ方を、みなさまお持ちではないでしょうか? 

ここ台湾では、クラシック音楽の演奏会前に「演前導聆」(イェンチエンダオリン)という催しがよく行われており、これに参加することがコンサートを訪れる人たちの楽しみのひとつになっています。

 

「演前導聆」(イェンチエンダオリン)とは?

演前導聆」とは、日本語で言うと「公演前レクチャー」「事前レクチャー」で、開演前の20分から30分ほどの時間を使って行われる、無料のミニ講座です。当日演奏される曲、また演奏者についての解説を聞くことができます。

「演前導聆」はチケットを持っている人であれば誰でも聞くことができます。開催の有無、開場時間や入り口が事前に指定されているのかなどの情報は、主催者のFacebookかチケットアプリの詳細ページで、事前に情報を確認しておきます。当日は並ぶこともあるので、席に座って聴講したい場合は少し早めに行きます。

国家音楽ホールの場合、1階大階段下のスペースに椅子が並べてあり、ここがレクチャー会場となります。前方には、当日の演奏会の立て看板やレクチャー用のスクリーンが設置されます。もし席に空きがなく座れなければ立ち見でもOKで、途中で席を立っても大丈夫な雰囲気です。

ゲスト講師は大学の先生や、音楽の専門家、ピアニストなど、演奏会によって異なります。解説内容も先生によって異なりますが、20~30分と時間が短いのがいいところです。当日の鑑賞を楽しむために「おいしいところ」だけダイジェスト的に教えてもらえます。興味が湧けば演奏会後に自分でどこまでも深めることができる、そのきっかけになるような講義です。

 

台湾の人気ピアニスト嚴俊傑さんによる「演前導聆」

前回の記事では、ブルース・リウさんと国家交響楽団の公演についてレポートを書きましたが、その中で当日の「演前導聆」の大盛況ぶりについても触れました。こちらの様子をご紹介いたします。

blogmegane.hatenablog.com

この日は、台湾のピアニスト嚴俊傑(イエン・ジュンジエ)さんをゲスト講師に迎え、開演前の18時50分から19時20分までの30分間、「演前導聆」が行われました。

白いスーツがお似合いのとてもハンサムな嚴俊傑先生👆

演目がショパンピアノ協奏曲第1番ということで、曲の成り立ち、作曲者ショパンについての解説と、ショパンコンクールとは何かなどについてのレクチャー、ファイナリストたちの協奏曲の演奏の聴き比べなどが、この日の主な内容でした。

先生はパワーポイントで資料を見せながら、聴き比べや聞きどころの紹介のために短い動画や音声を流してくれたりして、とてもわかりやすく説明してくれました。

また『Pianoforte』という2021年ショパンコンクールドキュメンタリー映画があるというような、新しい情報もここで知ることができました。

www.youtube.com

プログラム2曲目の交響組曲シェエラザード」についても、曲の背景知識や聞きどころを解説してくれました。聴き終わって「なるほど〜」という気持ちになると最後のパワーポイントには「Enjoy」の文字が。終了後は、嚴俊傑さんに駆け寄って写真撮影をお願いする若いファンの方がいらっしゃいました。

 

公演前だけじゃない? 「直播導聆」(生中継レクチャー)という試みも!

嚴俊傑さんは、李雲迪(ユンディ・リ)さんが優勝した2000年のショパンコンクールに参加した経験があるピアニストです。2021年のコンクール時期にはキュレーターとして「遇見蕭邦(Meet With Chopin)」という展示イベントに参加していました。イベントの様子は下の動画で見ることができます。

www.youtube.com

このイベント中、ショパンコンクールファイナルのネット中継を、参加者と講師が3日間徹夜して見守り、新星の誕生を見届ける「直播導聆」(中継レクチャー)という面白い催しがありました。演奏会前だけでなく、ネット中継を利用した解説講座が(しかも徹夜で!)開かれたのはとても興味深いです。

当時、中継を見守っていた嚴俊傑先生は、ブルースさんの演奏に強いインパクトを受けて「彼が第一位だ」と思ったと同時に、ブルースさんのファイナルでの抜きん出た演奏が、従来的ショパンとは「とても違う」ショパンだったということが、審査員に受け入れられるのかを懸念したということです。

しかし結果は、ブルースさんが高い評価を受けて優勝!

嚴俊傑先生は、この結果を受けてとても興奮し「これはピアノ演奏の新時代だ!」と、徹夜明けすぐにSNSに書き込んだのだそうです。

↑イベントの様子。ショパンコンクールの解説付きパブリックビューイングのようなイベント。

 

嚴俊傑先生の演奏はこちらからご試聴ください。

geo.music.apple.com

 

もし台湾でコンサートにいらっしゃる機会があれば、開演前に「演前導聆」がどんな雰囲気の催しなのか、ぜひぜひ覗いてみてくださいね!

本日の中国語キーワード

公演前レクチャー:演前導聆 yánqiándàolíng

生中継:直播 zhíbō

厳俊傑:嚴俊傑 yán jùnjié

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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