とまどいたいぺい

知られざる!? 台湾クラシック音楽文化の世界

台湾市民の常識?! 日常生活と深く関わるクラシック音楽の名曲

早いもので今年も7月が終わり、もう8月になります。暑い日が続いておりますが、皆様お体にお気をつけてお過ごしください。

1年前の今頃、台北に藤井風さん登場!

さて、ちょうど1年前のこの時期2023年7月末『Fujii Kaze and the piano Asia Tour』と銘打った海外ツアーで、藤井風さんが台北でコンサートを行いました。

ピアノ弾き語りのアジアツアーで、台北では追加公演も開かれました。さすが藤井風さん、台湾でも大人気ですね。

 

オール台湾ロケ!『Workin' Hard』のMV

そんな台北公演から約1ヶ月後の2023年の8月末、新曲『Workin' Hard』がリリースされました。翌月には台湾のVOGUEにも藤井風さんの記事が出ています。宇多田ヒカル以来の逸材と紹介されています。

台湾メディアも注目していたこちらの楽曲、実はミュージックビデオがオール台湾ロケで制作されました。

台湾の働く人に扮した藤井風さんが登場し、スクラップ場の風景から始まり、スーパーや商店、茶畑、住宅街など、台湾らしい日常風景にスポットを当てて撮影されています。アジアのローカルタウンをバックに、英語歌詞多めの超かっこいい楽曲が流れている、そんなギャップまでもが新鮮でクールなミュージックビデオです。

まだご覧になっていない方は、上のリンクからぜひご覧ください♪

私も去年、このミュージックビデオが公開されてすぐにチェックしましたが、見始めてすぐはロケ地が台湾であることに気が付きませんでした。見進めていくうちにあるシーンを見て台湾だと確信しました。

それがこちら👇

黄色いゴミ収集車!!

これが登場したところで、ロケ地は台湾だ!とわかりました。

台湾のアイコン的働くクルマ! 黄色いゴミ収集車

黄色が目印のゴミ収集車は、台湾市民の生活と最も密接な関わりがある、代表的な働く車です。台湾を旅行で訪れた方も、街歩きをしている際にこの黄色いトラックを目撃したことがあるかもしれません。

ゴミ収集車は決まった時間、決まった場所にやってくるので、市民はそのタイミングに合わせてゴミを持って外に出て、自ら後方に投げ入れるという回収スタイルです。ゴミ収集車がやってくる時間帯は、決まって顔をあわせるご近所さん同士、おしゃべりにも花が咲いたりするようです。

ここまでお読みいただき、今日の内容はクラシック音楽と一体何の関係があるんだ?と思った方も多いかもしれませんが、台湾のゴミ収集車にはある特徴があるんです。

それは、住民たちに到着を知らせるためクラシック音楽のメロディー流すことです。この音楽が聞こえる=ゴミ捨ての時間という生活リズムの中でも大切な動機づけになっているわけです。

そのクラシックの名曲とは?

ゴミ収集車から流れる音楽は2種類、どちらかを必ず耳にします。ピアノを習ったことがある方には超お馴染みの2曲なのですが、一体何の曲でしょうか? 

(台湾好きの方は知ってるかもしれません!)

正解は、ポーランドの作曲家、バダジェフスカ作曲『乙女の祈り』と、ベートヴェン作曲『エリーゼのために』の2曲です。

下の動画でぜひ実際の音を聴いてみてください。

乙女の祈り

エリーゼのために

この2曲、言わずと知れたクラシック音楽の名曲ですが、私が子供の頃はピアノを習っている子たちの間でも憧れの曲でした。

弾けるようになった子は、放課後の音楽室で早速披露して自慢していましたし、人によっては比較的早い段階でチャレンジできる名曲なので、発表会で弾いたよという方も多いのではないでしょうか。

音楽から連想するもの

小さな子供がいる台湾の友人宅にお邪魔したときのこと。

アンパンマンのおもちゃがあったので「これ、かわいいね。日本で買ったの?」と聞いたところ「そう。日本で買ったんだけど、ボタンを押すと『ゴミ収集車の歌』が流れるから、家で遊ぶようにしてる。この間レストランで『ゴミ収集車の歌』が流れちゃって、ちょっと恐縮しちゃったの」と言っていました。

そのアンパンマンのおもちゃは、ボタンを押すとエリーゼのためにが流れるようになっていて、おもちゃ特有の電子音のメロディーが、ちょうどゴミ収集車の音を彷彿とさせるものだったらしいのです。

個人的には憧れの旋律というイメージが強かったのですが、台湾では「ゴミ収集車の歌」としてしっかり浸透しているのだなと思ったエピソードでした。

🔗  讚嘆台"洗腦"神曲 一首歌讓外國人想倒垃圾 - YouTube 

こちらのニュース👆では、台湾で勉強中の外国人留学生に、音楽を流して登場するゴミ収集車の印象についてインタビューしています。

これはモーツァルト? と、原曲はよく知らないけどクラシック音楽だと認識している人、または学校の休み時間を知らせるチャイムみたいと言う人、アイスクリームの販売トラックを思い出すと言う人もいたり、やはりお国によって特定のものから連想するイメージも異なるということですね。

実はここにもあった!

こちらはこのブログでも紹介した台湾の音楽がテーマの雑貨ブランド「サム・ミュージック・デザイン」の商品です。

ベートヴェンのグラス、とってもかわいいデザインですが…ベートーヴェンの上に描かれているイラストをよく見てください。

このイラスト、ゴミ収集車です。しかも『エリーゼのために』のリズムを表す音符と一緒に描かれています。ベートーヴェン→『エリーゼのために』→ゴミ収集車の音楽、という連想の図式が、やはり台湾文化に浸透していることを表す良い例だと思います。

サム・ミュージック・デザインのご紹介はこちらの記事👇

blogmegane.hatenablog.com

とはいえ、やっぱりピアノの名曲!

こちらは台湾で買ったピアノ名曲集です。『乙女の祈り』『エリーゼのために』ともに収められています。ちなみに80元(≒400円)、安い!

ゴミ収集車の登場メロディーとしてお馴染みとは言え、ピアノの名曲として知られるところは日本と全く変わりありません。

日常に密接に関わるメロディーとして、台湾に暮らす人なら誰でも知っていると言えるこの2曲は、台湾で最も広く親しまれているクラシック名曲になっているのでした。

そういえば、私が日本で住んでいた地域のゴミ収集車は音楽を流していませんでした。音楽を流していたのは灯油の巡回販売車で『月の砂漠』が懐かしく思い出されます。

今回の記事をきっかけに調べたところ、日本でも『乙女の祈り』などの音楽を流す収集車が走る地域があるそうで、台湾のゴミ収集車の音楽文化と何か関わりがあるかもしれませんね。

引き続き色々調べてみようと思います。

 

本日の中国語キーワード

藤井風:藤井風 Téngjǐn Fēng

乙女の祈り少女的祈禱 shǎonü3 de qídǎo

バダジェフスカ巴達捷夫斯卡 bādájiéfùsīkǎ

エリーゼのために給愛麗絲 gěiàilìsī

ベートヴェン:貝多本 bēiduōběn

ゴミ収集車:垃圾車 lèsèchē

アンパンマン麵包超人 miànbāocháorén

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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