とまどいたいぺい

知られざる!? 台湾クラシック音楽文化の世界

【節目冊】(ジエムーツー) 買う派? 買わない派? 有料コンサートプログラム冊子

「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」と呼ばれる新潮流から、紙媒体にもデジタル化の波が押し寄せ「ペーパーレス化」が叫ばれるようになり、もう幾年にもなります。ですが、私たちが「紙」への愛着を捨て去り「デジタル書類」に完全に移行するにはまだ至っていません。日本のコンサートでも、無料で配布されるプログラムやチラシなどの紙媒体をたくさん目にします。コンサートの思い出や記録のために、それらやチケットの半券などを大切にコレクションされている方もいらっしゃると思います。

本日の記事ではデジタル化と共存する台湾の有料プログラム冊子「節目冊」(ジエムーツー)についてご紹介いたします。

有料プログラム冊子「節目冊」(ジエムーツー)

台湾のクラシック音楽のコンサートでは、無料配布のプログラムやチラシはほぼなく、たいてい有料でプログラム冊子が販売されています。このプログラム冊子は「節目冊」(ジエムーツー)と呼ばれ、公演当日、CDなどと一緒に会場で販売されています。

「節目冊」(ジエムーツー)はコンサートの主催者(プロモーター)が発行するもので、コンサートによって主催者が違うため、内容も公演によって違います。充実していたりシンプルだったり、プロモーターや各公演の個性が出ています。

共通する内容はアーティストの紹介、演奏される楽曲の解説、オーケストラの紹介、プロモーターの広告、協賛企業の広告などです。一部、英語と中国語のバイリンガル版で作られている場合もあります。

価格は50元から200元(200円〜1000円)ぐらいで、海外のアーティストだと少し高めになる傾向です。会場では現金販売のみのことが多いので、お求めの際は現金をご準備ください。薄い「節目冊」の場合は、たまにQRコードでダウンロードできるようになっている公演も見かけます。売り切れの場合でも安心ですね。

公演告知のチラシは?

日本の演奏会でたくさん配布される無料の宣伝チラシですが、台湾ではチケットカウンターの横などの専用チラシ棚に置いてあるだけです。チラシは直接お客様に配られることがほぼないので、会場で販売される「節目冊」(ジエムーツー)以外に持ち帰る紙媒体は基本的にありません。

日本では公演を聴きに行くとたくさんチラシをもらうので、それ用にエコバックを準備して行ったこともありますが、初めて台湾で公演を鑑賞したときに何か不思議な手ぶら感があったことを覚えています。

デジタル化している公演告知とチケット

では公演の宣伝はどうするの? ということが気になりますが、上述の通り台湾にも告知の紙チラシは存在します。しかし、会場のチケット売り場前、駐車場など限られたところに配布場所があるだけで、日本ほど存在感がありません。

代わりにチケットの販売のプラットフォーム(スマホで使えるアプリ)がとても充実しており、そちらで公演の情報収集からチケット購入までワンストップで利用ができ、とても便利です。チラシがないことでの不便は感じません。

ちなみにアプリよりも先に情報収集できるのは、コンサートプロモーターのSNSです。いくつかフォローしておくと、アーティストの訪台情報やアプリでのチケット販売開始日などがいち早くチェックできます。

台湾は、コンサートの宣伝からチケット販売までのプロセスにおいては紙媒体によるものが少なく、代わりにSNSやアプリなどによるデジタル化が進んでいると言えるでしょう。

 

「節目冊」買う派? 買わない派?

そんなデジタル化の中、生き残っている有料の紙媒体「節目冊」(ジエムーツー)ですが、台湾の人々の間でも、買う派、買わない派と分かれるようです。あえて購入するメリットはなんでしょうか?

 

素敵な思い出や記念に!

上質な用紙で小冊子にまとめられ、アーティストの美しい宣材写真も収められているので、ファンならコレクションしたくなるクオリティです。会場で写真を撮るときにも一緒に収めたりすることもできます。後日、家で見返したりしても楽しめます。

公演内容の予習や復習ができる!

出演するアーティストについて理解し、演奏される楽曲について知ることは、コンサート鑑賞の楽しみを倍増させてくれます。「節目冊」にはこの辺りの解説が収められているので、コンサートの予習にも復習にも役立ちます。

コンサートの予習に関しては、台湾では「演前導聆」(イエンチエンダオリン)という催しもあり、このブログでも紹介していますので下から記事をチェックしてみてください。

blogmegane.hatenablog.com

こちらに参加できなくても「節目冊」を会場で読むことで公演について理解が深められます。また公演中にも、ちょっと開いて参照することができます。上質紙なので意外にめくる音が気にならないのも、個人的に気に入っています。

貴重な情報が得られる!?

台湾へ来る予定の海外アーティストの情報は、確定したスケジュール以外にも、実はチラリと「節目冊」の最後の方に小出しにされてることもあったりして、有料の「節目冊」を買うとそんな情報もいち早くキャッチできます。ただ、予定の段階で書いてあるので実際は変わることが多いようです。

サイン会でサインをもらう!

公演後のアーティストによるサイン会は、「節目冊」または会場で販売しているCD・レコードのみにサインするというものがほとんどです。もしサイン会に参加したければ、むしろ「節目冊」の購入が必要になります。サイン会が開催される場合、アンコールを聴き終わった後、すぐに大行列になります。聞き終わって「節目冊」の購入をしてからでは間に合いません。「節目冊」は売り切れてしまうこともあるので、やはり公演前に買っておくとスマートです。アーティストのカリスマに触れられる貴重な機会であるサイン会に参加できるのも、有料「節目冊」購入のメリットです。

 

プロモーターの気合いを感じた「節目冊」

最近の公演の中でも、ヴィキングル・オラフソンさんのゴルトベルク変奏曲世界ツアーの「節目冊」はこだわりの内容でした。

この公演の「節目冊」の楽曲解説では、各30の変奏曲全ての解説にかわいらしいイメージイラストがついており、大学の先生による解説文とともに掲載されています。

以前にこのブログでも紹介したサムミュージックデザインとコラボレーションしたものでした。サムミュージックデザインについての記事はこちら👇

blogmegane.hatenablog.com

楽曲解説が文字だけだと無味乾燥に感じますが、イラストの効果で生き生きと感じられます。デザイナーのMasonYinさんはご自身のYouTubeチャンネルでもこのかわいらしい変奏曲のイラストを発信しています。かわいいバッハに癒されながら、各変奏曲について深掘りして知りたくなること間違いなしです。チェックしてみてください。

youtu.be

アーティストの気合いを感じた「節目冊」

驚いたのはアンドレイ・ググニンさんの公演での「節目冊」です。薄いのに今日の「節目冊」はちょっとお高めだな…なんて思っちゃったんですが、実は直筆サインがしてあったのです。アーティストのサービス精神を感じた「節目冊」でした。

アンドレイ・ググニンさんのコンサートレポートはこちらから👇

blogmegane.hatenablog.com

 

ちなみに私は、かなりの頻度で「節目冊」を買う派です。

 

最後までお読みいただき本当にありがとうございました!!

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